ことわざを英訳するには、いくつかの方法がある。
3つくらいを紹介するよ。
①直訳する
「石の上にも三年」を英語にすると、
three years on a stone(=石の上で3年)
これだと手っ取り早いし、同時通訳をする人が大体使う手法。
だけど、いまいち意味が良くわからない。
②長めに(詳細に)説明する
オリジナルのことわざは、
「どんなに冷たい石でも、その上に3年も座っていればあったまる」
という意味。だから、これを英訳して、
“Sitting on a rock for 3 years will make the rock warm.“(=冷たい岩の上に3年座っていると、その岩も暖かくなる)
逐次通訳で使われる手法がこれ。物知りな通訳は、これで長めに通訳して、外国人をへぇ~と言わせることが得意。でも、これだと、英語が分からない、横で通訳をしてもらっている日本人が、
「僕が言った日本語より全然長いのはナゼ???」
と心配そうな顔をしてくる。
③「要は・・・」のイミを通訳する。
「石の上にも3年」の言いたいことは、ずっと我慢すればいつかきっと道が開かれる、ということ。
この意味自体を訳す。
“Perseverance and patience will bring good results.“(=あきらめずに辛抱すれば、良い結果が訪れる。)
いや、これは、さすがに、最初のことわざの英訳とは言えないでしょ、と思ったあなた。実際の通訳現場では、①と③を組み合わせて通訳することが多いよ。でも、時間制限があるけどね。
④似たような英語表現を充てて、通訳する。
さて、これが一番難しい。
あえて、苦し紛れに、外国のことわざを充てると、
“Perseverance pays dividends.“(=忍耐力には、配当が支払われる)
となる。
なんのこっちゃ!と思った、あなた。
まぁ、その気持ち、分からなくもない。
ここでのdividendsは「配当」だが、いわゆる「己が(権利をもっていることで)配給されるなにか良いもの」のような意味合いを含むことがある。
good results =良い結果
fair outcome =フェアな結果
rewards = ご褒美
と同じような意味。
これらのいくつかを合わせて通訳・翻訳するという、まさに文化と文化の橋渡しは、職人さん気質じゃないとできないような芸当なのだ。