最近、若者の間でよく「コスパが悪い」という話を聞くようになりました。
ちなみに、「コスパが悪い」を英語にすると・・・?
(こう思ったときは、Google検索してみて)「あのレストランはコスパが良い」=That restaurant has good cost performance. ☛ネット検索すると出てきました。これはOK。但し、これは『書き言葉』なサウンドがします。「あそこで提供される食事はコストパフォーマンスが良いです」って会話では言わないのと同じ。もう少しくだけた自然体の英語は、
1)It offers more for what you pay.(=払った以上のものが出てくる)
2)It is very cost effective.(=費用対効果が高い)
という感じになります。
↑
これ、みんな会計用語です。
知ってましたか?
Costも、paymentも、Cost performanceも、
会計人が日々の業務で使う用語です。
それが、日常会話で使われるようになりました。
そんな会話を聞くと、
多くの人が、自分の支出に気をつけるようになったんだなと感じます。
それに比べて「自己投資」という考えはまだ浸透していない。
みんなコストのことばかり心配しています。
例えば。
この前、エレベーターで一緒になった女子大生の子たちの会話:
「ねー、〇〇ちゃん、今度『就職塾』って入ったんだって。」
「なに、それ?」
「就活のアシストしてくれるらしいんだけど、10回セッションで2万円だって」
「なに、それー。高い~」
「マンガ買ってカラオケ何回か行ったほうがはるかにトクじゃんねぇ」
女性大生に、2万円は高いよな、と思っていたら、
案外マンガやカラオケには使うんだと、思いました。
たしかに、最近はどのエンタメも結構お金がかかります。
(外出するだけで、お金が財布から消えてなくなると、私でも感じます。)
だけど、
『マンガ・カラオケ』と『就活塾』を天秤にかけると『就活塾』が負ける。
つまり、
『マンガ・カラオケ』のほうがコスパが良い、と思われている。
私は、この会話を聞いて、会計人として少し悲しかったです。
お金の使い道には4パターンあります:
消費:重要で、かつ緊急の費用。例)日ごとの食事
浪費:緊急だけど、重要でない費用。例)疲れて飲み歩き
投資:将来のために出す費用。例)資格学校
空費:重要性も緊急性もない費用。例)タバコ
他の3つは『費用』の『費』がついているのに、投資だけ『費』ではなく『資』なの、なぜですか?
理由は、
「投資」だけが、リターンがかえってくるからです。
会計で、特定のコストにお金を使ってよいかどうか、判断基準として、最も重要視するのは、
将来、その使ったお金に見合ったリターンが得られるかどうか、
です。
①Return on Assets = ROA = 総資産利益率
②Return on Equity = ROE = 自己資本利益率
って聞いたことありませんか?
①は、自分(の財産、能力、時間)=資産から、将来使える要素=利益を、どれだけ生み出せるか、という考え。
②は、つぎ込んだお金や時間=資本から、モトを取ってそれ以上のなにか=利益を、どれだけゲットできるか、という考え。
です。
就職塾に2万円使っても、後に結構良い会社に就職できて、平均月収20万円のところ、21万ゲットできれば、2か月でモトを取れますし、一年でそれの6倍リターンがあるのです。
そういう長い目で、自分の人生を考えてみることができる子どもを是非育ててほしいなぁと思いました。
ちなみに、先ほどの『消費・浪費・投資・空費』という考え方、なにもお金だけではありません。自分の時間も立派な資産です。それも、この4パターンに分けられます。
そして、4パターンのうち投資に使える割合が高ければ高いほど、満足度が上がるという結果も。
皆さんも、日々のお金や時間を4パターンのどれに最も使っているか、計算してみると、案外面白いことが分かるかもしれませんよ。
ご健闘を!