英語といえば、TOEICやら、TOEFLやら、英検やら、たくさんの試験がありますが、
試験勉強といえば、イディオムの意味を覚えたり、動詞の和訳を暗記したり・・・と覚えることばかり!とパニックになられる方が非常に多いように感じます。
確かに、「apple = リンゴ」、など、割とハッキリわかるような単語だといいのですが、ただただ暗記をして終わり!という人が非常に多いのも事実です。
でも、この「暗記」という作業、案外一筋縄ではいきません。
例えば・・・
”knock”という単語からどんなイメージや意味合いを連想できますか?
“knock, knock”=よく漫画の1コマに出てきますが、ドアをトントンと叩く擬音語です。
To knock = ドアをノックする
という動詞がそのまま擬音語になっています。
日本語で考えてみると、「叩く」という言葉から「タタク、タタク」という擬音語になったようなものなのです。
日本語では考えられませんね。
実は、英語には元々「擬音語」なるものがありませんでした。
そういう意味では、日本語がとても便利な言語だと言えます。
「パクパク、モグモグ、ゴックン」など、食べる音だけでも、これだけたくさんのオノマトペ(=擬音語)があるのは、世界の言語をみても日本語くらいなんです。
さて、”knock”のイディオムはいかがでしょうか。
Knock out = 倒す、やっつける
Knock down = 倒す、やっつける
どちらもボクシング関連で覚えると良いです。同じ”knock”を使うイディオムでも少し意味合いが異なります。なぜか?”knock out”は倒されたあと意識不明(に近い状態)になること、”knock down”は(意識不明にならなくても)倒されること、を指します。”KO”というのはもうかなりのダメージを受けて、完敗の状態であるということを覚えておくと、この違いも明確に理解できますね。(ちなみに、KOは、精神的なダメージにも使えます。)
では、こちらはいかがでしょうか。
Knock over = 倒す
同じ「倒す」のでも、少し意味合いが変わってきます。これは、ボクシングでは使えません。なぜでしょうか。このイディオムには、「意図せずに倒す」という意味合いがあるからです。
「花瓶を誤って倒して割ってしまった!」「間違ってサッカーボールが自転車に当たり倒してしまった」そんなイメージです。
”out”や“down”など、動詞のあとに付けるもので、意味合いが微妙に変わってくるなんて、この”knock”という単語だけを拾ってみても、英語って面白いと思いませんか?
おさらい:
すべて”knock out”:
She was so tired that, when she came home, she was quickly knocked out, sleeping immediately until the next morning.
=彼女は疲労困憊で、帰宅後すぐに眠り込んでしまい、次の朝までぐっすり眠った。
The unexpected power outage knocked out the entire neighborhood.
=予期せぬ停電で、近隣全体が停電した。
すべて”knock down”:
He knocked down the opponent with a single fist.
=彼はたった一撃で相手を倒した。
The boxer managed to knock down the youngest opponent in the first round of the tournament.
=そのボクサーは、大会の最初のラウンドで最年少の相手を倒すことに成功した。
すべて”knock over”:
He accidentally knocked the glass over.
=彼はうっかりグラスを倒してしまった。
The mischievous cat managed to knock over a tower of stacked books.
=いたずら好きな猫が、積まれた本の塔を倒した。
The toddler accidentally knocked over the carefully constructed tower.
=幼児がうっかり丁寧に組まれた塔を倒してしまった。