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会計
2023.03.16
アメリカの経済は大丈夫?と不安になるワケ

銀行破綻が相次ぐアメリカだが・・・

事の発端は、先週のアメリカにおけるシリコンバレー銀行(SVB)の経営破綻でした。この銀行、実は皆さんの中に知ってる人は少ないのでは?シリコンバレーのIT系の銀行が主に預金している銀行なので、知る人ぞ知る銀行なのですが、規模でいったら、資産額が28兆円なので、ふくおかフィナンシャルグループの29兆円くらい?っていうところでしょうか。あの

『福岡銀行と熊本ファミリー銀行と親和銀行と十八銀行をすべて合算した銀行より大きな銀行』


と思えば、すごい!と思うかも。

↓ 規模の比較は、ここにも載ってるよ ↓

で、この銀行が潰れたのは3月10日でしたが、その2日前に、すでにシルバーゲート銀行も潰れていました。(こちらは資産規模が1兆円ちょっとなので、そんなに大きくはないですが)暗号資産の取引をメインにしていた企業です:

皆さんも、去年の11月に暗号資産取引がメインだったFTXが潰れたことは覚えている人も多いのでは?昨年以来、暗号資産はやっぱり安心できないといって、預金を出す人が増えていて、その結果シルバーゲートも経営不振になってしまいました。

それで、今度は、シグネチャー銀行が3月12日に破綻してしまいます:

つまり、5日間で3つの銀行が潰れてしまったわけです:
3月8日:シルバーゲート銀行
3月10日:シリコンバレー銀行(SVB)
3月12日:シグネチャー銀行

3日間で3つも銀行が経営破綻するなんて!と、みんなが心配しだしたわけです。

ちなみに、色々なテレビを見ていましたが、なぜか日本のテレビでは2つ目のシリコンバレー銀行の経営破綻だけが、大きく報道されていました。なぜなのかは疑問です・・まあ、一番大きいからなんでしょうが、この3つを一緒に報道しないとねぇ・・

これらが、経営破綻になった理由は、去年3月以来のFRB政策金利の急速な引き上げで、債券の金利上昇・価格下落()の結果、経営が悪化したため。

債券の金利が上がると、価格は下がる、という逆相関関係にある。

2.クレディ・スイスの動向

これは、上の3つの銀行破綻とは、まったく関係ないといえばないです。

これまで数年くらいスキャンダルまみれだった、クレディ・スイスが、ちょっと経営が危うくなってきます。スキャンダルというのは、資産管理をしている富裕層の中に、人権侵害した人や詐欺師など、つかまってもおかしくないような人が複数いたこと。また、超富裕層の資産を管理する会社『アルケゴス・キャピタル・マネジメント』が巨額損失を出したこと。(正確には、会社というより『ファミリーオフィス』です。ファミリーオフィスは、富裕層の資産だけを扱うプライベートな会社と思ってください。)ちなみに、このファンドの経営者ビル・フアンも、詐欺罪で警察に逮捕されています。

いろんなスキャンダルのせいで、コロナ禍で株価値上がりで、儲けまくった金融業界の恩恵をまったく受けられず、株価がダダ下がりのクレディ・スイスは、がんばって立て直しを図っているものの、うまくいっていなかったのです。

最終的には、クレディ・スイスの一番大きい株主である、サウジアラビアの銀行=サウジ・ナショナル・バンクが、追加投資のお願いを拒否しました。これで、クレディ・スイスの株価が暴落したけです。

最終的に、中央銀行から助けてもらい、7兆円の融資支援を受けることができた、クレディ・スイス。中央銀行が銀行へ融資を差し出すのは、あのリーマン・ショック以来です。これで、今回の金融危機再来と言われる所以が理解できたでしょうか。

でも、まだこれで終わりではない!クレディ・スイスは、株だけでなく、債券やコモディティやら、ありとあらゆる金融商品でメジャーな存在です。そのため、『これで終わりじゃないでしょ、またなんかあるのでは?』と疑っている人が多いのです。

アメリカ政府は、インフレを避けるために金利を上げていたのに、ここにきて今度は世界金融危機がまたくるのかも?と、どうしよう?となってます。彼らのヒヤヒヤしている気分が、世界全体に影響を与えています。

3.だから、私たちはどうするか?

さあて、ここで、私たちが考えるべきは、なんでしょうか?

別に投資しているわけでも、海外に行くわけでもないから、まあ、関係ないかな~と思っている、そこのあなた!

ぼ~っと生きてんじゃ、ねーよ!というチコちゃんの怒鳴り声が聞こえてきそうです。

最近のモノの値段に、ひいこら言ってませんか?
最近のアルバイトや給料の低さに愕然としてませんか?
給料から控除されている費用の多さにションボリしてませんか?

これからは、もっとモノの値段が上がってきます。
そして、相対的に給料は低くなり(だって、同じ金額のままだと、買えるものが少なくなりますよね)、控除され続ける費用も相対的に大きな負担に感じてくるはずです。OECD各国の中で、日本だけが、この30年、給料が上がっていないのです。

このまま辛酸を嘗(な)めることを続けていくか、海外に逃亡するか、日本で主張していくか?

日本は、世界の中でもっとも、ストライキや市民レベルの抗議が少ない国だと言われています。私も海外に住んでいたころは、ストで電車が止まったり郵便局が閉まったりしていることがしょっちゅうでした。いえいえ、決して、ストライキを起こせ!という過激な発言をしているわけではありません。でも、英語圏では、「remain silent=黙ったままでいる」というのは、「accept=それを良しとして受け入れる」と同義語になります。

それを考えると、英語や会計を学ぶ日本人として、取るべき行動はなにか?改めて、考えてみてください。