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長文読解にすぐに使えるスキルを身につけよう!その①略語に目を留めよう

こんにちは!長年、海外に住み、日本に帰国後、英語を教える帰国子女の、スグリンガルです。

「英語」にアレルギーを感じている人が、日本にはあまりにも多いです。

そりゃあ、学校で何年も何年も勉強したのに、日常会話すら満足にできないようでは、嫌いになるのも当然です。

でも、長文読解って意外と簡単なんです。

こんな長文、いかがでしょうか:

The great hope of the 1990s and 2000s was that the internet would be a force for openness and freedom. As Stewart Brand, a pioneer of online communities, put it: “Information wants to be free, because the cost of getting it out is getting lower and lower all the time.” It was not to be. Bad information often drove out good. Authoritarian states co-opted the technologies that were supposed to loosen their grip. Information was wielded as a weapon of war. Amid this disappointment one development offers cause for fresh hope: the emerging era of open-source intelligence (OSINT).
(Economist 8/10版)

「あぁ、もう嫌だ」と最初から投げだしてはダメ。

必ず、長文には何かとっかかりがあるものです。

よく” “をまず読め、というのを聞いたことがあります。

でも、それはあまりおススメしません。

上記にも” “がありますが、まず

Information wants to be free…”

となっていて、なんのことか分からず、脱落すると思うのです。

そこで、今回注目してほしいのが、

略語

です。

略語は、必ず (    ) で閉じられています。

今回の場合、

(OSINT)

です。

そして、ほとんどと言っていいくらい、略語の前後には、この略語が何なのか、スペルアウトされています。

今回の場合、この”(OSINT)”は、

open-source intelligence (OSINT)

であることが分かります。

オープンソース・インテリジェンス

ってなんでしょう?

最近、AIが流行ってますが、AIもアーティフィシャル・インテリジェンスなので、「インテリジェンス」は、オート(=自動化)させるコンピュータ関連のデータ・情報なんだな、と想像できます。

オープン」だから公開されているわけですが、「ソース」は「源」という意味です。つまり、源(=情報源)が公開されているデータのことです。

実は、一般に公開されている情報源からアクセスできるデータのことで、アメリカ政府は諜報活動に使ったりしています。諜報活動というと、スパイだ!007だ!となってしまいますが、まさにそうです。でも、公開されているため、なにもスパイが登場しなくても、一般の人でちょっとパソコンの知識があれば、なんでも調べられる、そういう時代になってきています。

OSINT (Open Source Intelligence) | セキュリティ用語集

つまり、上の長文は、そのような高度な公開情報について説明しているわけです。

英文では、この略語を説明する前に、ライターが言いたいことを、「:」で言う傾向があります。今回もまさにそうです:

Amid this disappointment one development offers cause for fresh hope: the emerging era of open-source intelligence (OSINT).

「:」のすぐ前に、”fresh hope”(=新鮮な希望)とあります。

少し不自然な日本語ではありますが、このライターさんがOSINTに対して悪感情を持っているわけではないことが、想像できると思います。

OSINTが出てきて、良い時代になったと言いたいのかな?と考えることができれば、この長文の5割は攻略できているのです。

この文章の最初に”amid this disappointment”(=この失望の中で)とあるため、そのすぐ前の文章は、ライターにとって失望させられる何かが続くと想像してください。

Bad information often drove out good. Authoritarian states co-opted the technologies that were supposed to loosen their grip. Information was wielded as a weapon of war.

Bad information“(=悪い情報)、”Authoritarian“(=オーソリティをふりかざす〇〇)、”weapon of war“(=戦争の武器)―すべて「失望」なんです。

OSINTとどう関係あるの?

そう思ってしまうかもしれません。でも、それでつまずいていては、長文読解できません。大事なのは、流れをつかむことです。

では、長文の一番最初に戻ってください。

The great hope of the 1990s and 2000s was that the internet would be a force for openness and freedom.

あれ?ここでは”great hope“(=素晴らしい希望)、”openness“(オープンなこと)、”freedom“(=自由)なんて言ってますね。

先ほどの、”Bad information“などと言った単語とは反する単語です。

データの公開、インターネットとか、サウンドの良いものが出てきたけど、結局、悪用されたりして、悪いことが起きた。それなのに、最近OSINTが出てきて、また良い世界になりつつある。

↑この流れがつかめば、あなたの長文読解も8割型完成です。

全訳です。上記で説明した単語は太字にしてみました。

こうやって見ると、流れは理解できていると思いませんか?

(全訳)
1990~2000年代にはインターネット世界を開放し、自由を推進するという期待があった。オンラインコミュニティーの先駆者であるスチュアート・ブランド氏は「情報発信コストは下がり続けるため、情報は自由に広がっていく」と予想した。現実は必ずしもそうはならなかった。悪い情報が良い情報を駆逐することも少なくない。独裁国家は自らの支配力を弱めるはずだったこのテクノロジーを権力強化に利用した。戦争では情報は武器として利用されてきた。こうした失望が重なるなかにあっても、公開されているデータを活用した情報分析活動は現代社会に新たな希望をもたらしつつある。

(日経新聞の記事https://www.nikkei.com/article/DGKKZO74628900Z00C21A8TCR000/
より抜粋)