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最近やたらと多い、従業員の気持ちを表したドラマがウケるワケを帰国子女として考えてみた

毎年、春のこの時期になると、思い切って辞めるか、しぶとく会社に残るか。そんなことを考える日本の社員は多い。

と、よく聞く。

だが、10回転職した私は、年がら年中そんなことを考えていた。

いや、そんなことを考えていることのほうが多かったように感じる。

「働きマン」(2007年のドラマ)を観ていたころは、

よし!私も頑張って明日から働くぞ~!

と意気込んでいたのに、

半沢直樹」を観た次の日は、

「お前こそ、倍返しだ~!」

といつ怒鳴り返せるか、考えていたし、

わたし、定時で帰ります。」を観た次の日は、

「いつ、同じことを吐き捨てるように言ってやろうか」

ばかり考えながら、結局なにも言えず残業した。

先日、一橋ビジネスレビューの雑誌の中で読んだ論文が「なぜ日本の労働者は低賃金を甘受してきたのか」という面白い内容だった。

【一橋ビジネスレビュー】 2020年度 Vol.68-No.4 | 一橋大学イノベーション研究センター2021年春号特集:働き方改革の本質

理由は様々分析されていたのだが、アメリカやフランス、中国とは異なる日本の労働力のユニークな特色として、「労働者が入社後に賃上げを要望する」ことが圧倒的に少ないという点。

どの国でも大半の労働者が自分の賃金について雇用主と話し合いをして、賃上げを要望しているのに、日本では、その賃上げ自体を要望したことがない層が全体の労働人口の7割以上を占める

どんなにもドラマや映画で、不満たらたらの社員上司に言い返す社員倍返しだー!と叫ぶ社員を映し出しても、結局はそんなことをする社員は皆無なのだ。

俳優がそれを演じることで、うっぷんがすでに晴れてしまっているのでは、日本人もビッグにはなれないと思ってしまう。

どうせ誰も声をあげない、と日本の雇用者はたかをくくりすぎなのではないか。

そのツケが、いつか雇用主、強いては日本国経済にマクロな形で回ってくるような気がする。