長年、海外に住み、日本に帰国後、英語を教える帰国子女の、スグリンガルです。
「時は金なり」の英訳は、”Time is money“です。
一番、優しい英訳かもしれません。
でも、ちょっと待ってくださいませ。
「なり」っていう日本語表現がありますが、
なぜ「時は金」と言わずに、「時は金なり」と言うか、知っていますか?
実は、”Time is money“のほうが先にできた表現です。
「時は金なり」という表現が、あとから和訳としてできたんです。
これは、米ドル紙幣の顔でもある、ベンジャミン・フランクリン、の言葉です。
ここで、英語のワンポイント・アドバイス:
ちょっとよく考えてみると、”time“(=時間)は、”money“(=お金)ではないですよね。少なくともイコールではないです。
同じ時間を使っていれば他のことができたのに、あえて特定のことをするために、その時間を費やしたから、他では変えられないし、もうその時間は取り戻せない
だから、”time“は”money“と同じくらい大切なんだよ
という意味で、”time is money“なわけです。
この、説明しないとイコールでない2つを”is”で結ぶという英語表現は、
metaphor = メタファー = 隠喩
と呼ばれていて、何かを強調したいときにつかわれる表現です。
この重みがある強調表現を和訳するのに、「時間はお金」と言ってしまうと、意味合いが曖昧になってしまう。
だから、「時は金なり」というちょっと、古めかしい単語が使われているわけです。
この文章一つにも、翻訳の難しさが表れているの、分かりますか?
今日は、翻訳を侮ってはいけない、というお話でした。